憧れの豪華客船へようこそ 1.突然の花嫁宣言

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「あ、愛してます! I love you, too!!」  その時、目の錯覚かと思うくらいのわずかな瞬間だけど。  彼――海堂翔一郎が笑った。  さっきまで見せていた表面だけの微笑みじゃなくて、心の中の喜びが思わずあふれてしまったような素直な笑顔。 「え……?」  でも、その素顔はすぐに消え去り、どこか人を食ったような御曹司づらがふたたび現れる。 「よくできました」 「わ……、何!?」  翔一郎さんの指先がわたしのあごにふれ、クイッと上向かせると、突然――キスされた。  男らしいさわやかなコロンの香り、強引な指先の熱、思ったよりずっと柔らかい唇の感触。  生まれて初めての、キス。  若い女性たちの「きゃーっ」という悲鳴が響いた。  その直後、さらに深く抱きこまれ、翔一郎さんの熱い舌がわたしの口の中に入ってきた。 「んっ、あ……」  頭の中から音が消えた。  ウェルカムパーティーの会場に流れていた生演奏のクラシック音楽も、グラスとグラスがふれあう乾杯の音も。  何百人もその場に集まっているはずのゲストたちのざわめきも。
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