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煩悩のおかず
「あ、もしもし。あ!見た?
見たみた。もう入れた?まだ」
電話に出たのは、同じクラスの
タケイチだ。
「え?僕? 泳ぎか走りが上手く
なりたいから、それにする!」
そしたらタケイチに笑われた。
もっと、上手くしろって!?
それも教えてくれる前に、
おばさんの電話をつかう
タケイチも電話がキレた。
「おじいちゃん、泳ぎも、走りも
上手くなる、かき方ってなに?」
トイレから戻った、
おじいちゃんに聞いてみる。
「うん?走りも、泳ぎも、上手く
なるお願いの仕方か?何じゃろ」
「はやく、はやく!時間くるよ」
「うーん。そうじゃ、少しだけ
筋肉が強くなるはどうじゃ?
上手くいけば、わしの腰の傷み
も無くなるかもしれんぞ。」
「それじゃあ、体が強くなるに
しようかな。病気とかもしなく
なりそうじゃない?きまり!」
そんなことを話していたら、
お母さんが
年越しそばが出来たと、
コタツにはこんできた。
「なに?除夜の鐘のお願いこと?
まるで煩悩だわね。おじいちゃ
んと、角のお寺さんに、後で
鐘突させてもらいなさいな。」
僕とおじいちゃんは
顔を見あわせた。
テレビには続々と効力候補が
写っていく。
「そういや、じいちゃんは
煩悩の数は四苦八苦からきとる
と、教えてもらったのう。」
僕とおじいちゃんは、
手を止めてニュースを見る。
お母さんは、年越しそばを
美味しそうに食べる。
僕は リモコンのDボタンを押した。
大晦日の除夜の鐘が鳴るまで、
ニュースは続いた。
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