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「さすがに申し訳ないので、最大レベルで転生できるようにしますね」
女神が膝を付いて再び頭を下げた。
俺はぼんやりとしたままその裾がふんわりと広がるのを見つめる。
「……ん?最大レベル?」
ハッとして聞き返すと、女神は微笑んで頷いた。
「はい。剣の世界と魔法の世界……どちらがよろしいですか?」
かなり心地よい声に、見ているだけで安らぐ笑顔。
「……はぃ」
ただ頷くと、少年は大げさなくらいのため息を吐いた。
「女神さまぁ、惚けちゃってますよ。もう魔法でいいですって!魔法で」
ぐへぇっと舌を出す少年が目の端に映るが、女神から目が離せない。
「では、今回はこちらのミスなのでこのテルをサポートとしてつけますね」
「まっ!!ちょっ!!女神さまっ!?魔力カンストならそんなものは必要ないのでは!?」
焦る少年を無視したまま女神は俺の両手を握る。
「亮哉さん。本当に申し訳ありません。こちらでできるフォローは最大限致しますので……どうぞ転生後は素敵な人生を」
微笑む女神は少年の言葉は無視してフゥッと息を吹いた。
ひらひらと手を振られて振り返す間もなく俺は急な浮遊感と圧迫感のようなものを感じていると、だんだん意識が薄れてくる。
女神……くっそ美人だったなぁ。
俺は死んだと言われたのになぜか幸せで満たされたような気がしていた。
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