人違い?

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人違い?

「もしもーし!わかりますかーぁ?」  誰かに揺すられる感覚で俺はぼんやりとしたまま目を開けた。  でも、やたら身体がダルくて再び目を閉じ…… 「っ!!」  ガッと腰の辺りを蹴られて飛び起きる。 「痛ってぇな!何す……」  怒鳴りかけた俺は目の前に居て、恐らく蹴ったであろう右足の白いブーツの底を見せたままにこにこしている男、というか小学生くらいの少年を見てから辺りを見回した。  真っ白な部屋というか……どこまでも先が見えない何もない空間。 「女神さまーっ!起きましたよっ!」  少年がパタパタと走っていくとスッと髪の長い金髪に白い服の女が現れた。 「すーげぇ。何この夢」  呟くと、歩いてきた女神はしゃがんでこっちに微笑みを向ける。 「夢ではありませんよ。あなたは先程上司に刺されて亡くなったのでこれから転生するのです」 「…………は?」  突拍子もなさすぎて笑えない。 「冴崎(さえざき)涼真(りょうま)さん」 「いや、俺、向崎(むこうざき)亮哉(りょうや)だし」  女神は微笑んだままゆっくり少年の方を向く。 「え!?あれ?……同じ……ですよね?えへっ」  少年は口元に手をやってアワアワとしてから笑って誤魔化した。  待てっ!!  俺が刺されて死んだ!?  しかも、人違いでかっ!?
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