連鎖二週目 氷解

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帰り道、近道をするために必ず通る公園で男女四人がベンチの周りでたまっていた。 女子二人は知った顔だ。 和田さんと中西さん。 そう、俺に告白してきた中の二人。 男子はまた見たこともない顔の二人。 おそらく付き合っているカップル同士のような雰囲気だった。 衝撃的だった。 それにお互いかなり距離が近い。 鼻とおでこが引っ付き合っている。 あれも会話の一つなのだろうか。 あぁ吐き気がする。 また、だ。 また俺に告白してきた女子に恋人が出来た。 この二人で岩崎さん、峰さんに続いて四人目だ。 これは本当に偶然なのだろうか。 いや、違う。 今回ので確信した。 偶然にしては続きすぎている。 では俺に告白した人はすぐに意中の人と付き合えるという謎の神通力によるものなのだろうか。 完全に否定は出来ないが、これもおそらく違うと思う。 一人二人ならわかるが、四人連続はどう考えてもあり得ない。 仮に神通力のような某かの力が働いたのだとしても、流石に効果が出るのが早すぎる。 そう、これらはおそらく人為的によるものだ。 俺に告白して振られた全員が、誰かの助言か命令ですぐにまた誰か別の人に告白して成功しているということも考えれるが、それもまた偶然によるところが多すぎる気がする。 それなら、もっと考えられそうなことがある。 既に出来上がったカップルの女子に、誰か黒幕が俺に告白するように仕向けたと考えるのが一番不自然さが少なく偶然に頼る範囲も少ない気がする。 だが一体誰が?何のために? 唯一、本当に告白してきた可能性のある岩崎さんが振られた腹いせにしているのだろうか? 同じモテない者同士だと思っていた春希が、急にモテだした俺に嫉妬して嫌がらせを? もしくは日下部が? 人間は腹の底では何を考えているか分からない。 そんな人間の奥深さでもあり醜さを、この数日味わい続けていた俺にはもはや誰も信じれなくなっていた。 家に帰っても、公園でいちゃついていた和田さんと中西さんの姿を思い出し食欲がなくなる。 おそらく明日か明後日には、さっきの岡本先輩が誰かと身体を余すところなく引っ付き合っているのを見ないといけないのだろうか。 だが実際に次の日、目の当たりにしたのは朝の登校途中にメロンソーダパーカーの村上さんが、俺の知った顔と自動販売機の前でキスしているところだった。 相手は春希だった。 わけがわからなくなった。 俺は何を見せられてるんだという疑問もあったが、最近つれなかった春希の様子に少し合点もいった。 なるべく動揺を見せないように前を通り過ぎた。 春希の肩と顔の隙間から村上さんがこっちを睨んできている気がした。 去り際、急に冷静になって、二人共場所選べよと思った。 これじゃ本当にジュースが買いたい人が買えない。 喉がカラカラだけど、気を遣って次の自動販売機を探す人もいるかもしれない。 それに気付けないほど周りが見えなくなるものなのか、恋愛とは。 なら一度でいいからしてみたいものだ。
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