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乙女戦争、始まります!
教室の中を、ぴりぴりとした空気が満たしていた。朝のホームルームが始まるよりもずっと前から、教室に待機している生徒がずらり。私を含め、見事に殆どが女子(約二名のみ男子)である。全員がそわそわしながら、教室のドアを今か今かと伺っている。時折視線で、お互いを牽制しながら。
今日が戦争であることを、誰もが理解しているのだ。
この日のためにどれほど準備を重ねてきたことか。殺気だった他の奴らを蹴落とす仕掛けもした、それ以外の準備も万全だ。あとは、ターゲットが登校してくるのを待つばかりである。
――私ならできる、できる、できるったらできる……!
バッグの中の“武器”をしっかりと握りしめ、固唾をのんで見守るドア。
標的はまだか。去年の時点で、多くのスナイパーに自分が狙われていることは気づいているはず。ならば向こうも警戒して、時間ギリギリに来る可能性はある。が。
本人は相当真面目な性格だし、クラスでも優等生だ。万が一人も遅刻なんて汚点は残したくないとは思うのだが。
「来た、今下駄箱で靴履く音がした!」
「ぬあんだと!?」
女子の一人が叫ぶ。おい待て、ここ三階なんだが。下駄箱は一階だしかなり離れてるんだが。何でこの距離で標的が靴履く音がわかるんだ。
が、そんなツッコミをしている暇はない。全員が手に手に、今日の為に研ぎ澄ました武器を構え、ドアを睨みつける。待っている時間が、やけに長に長く感じてしまう。
そして、足音が聞こえてきて。
ドアが開く、その刹那。
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