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「うおおおおおお!」
私は椅子を蹴り飛ばして走り出していた。走りながら他の女子数人を頭突きで吹っ飛ばすのも忘れない。姿を現した標的に、武器を持って襲いかかる。そう。
「榊くううううん!私の愛を受け取ってえええええええええええええええええええ!」
「ぎゃああああああああああ!?」
そう。
今日は、バレンタインデー。乙女の、場合によっては男子にとっても戦争の日である!
チョコの箱を差し出して迫ってくる私他数名の鬼の形相に、このクラス最強のモテ男子である榊君は絶叫。バッグを放り出して逃げ出した。甘いぞ榊君、そのバッグ、散々飢えた女子どもにハスハスされた後でしこたまチョコつっこまれるぞ、いいのかそれで!
しかし、そんなことを気にしてやれる余裕はない。私は走る、走る、走る。天井から振ってくる盥を避けつつ、時々廊下に設置したスイッチを押して後続のライバルを廊下の落とし穴に落としつつ。
恋はまさに戦争である。
そう、それが小学生の女子にとっても関係はない!
「逃げないで榊君!この場で媚薬入りのチョコ受け取って食べて“美味しいね、太田さん愛してるよ”って言ってくれればそれでいいからあ!」
「いやいやいやいや!全力でアウトだから!」
こんな女子小学生嫌すぎる!
同じ小学生であるはずの榊君が、叫んだとかなんとか。
「も、もしもーし?」
そして、ホームルームに来た先生。荒れ放題の教室と、若干泣いてる男子生徒達を前に、呆然とするしかなかったとか。
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