香りの正体

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モダンルームはスイートルームよりは値段はしないが、それでもかなりの宿泊料金がかかる高級な部屋だ。 きっと料金表を見て断るだろう、少し残念な気もするが縁もここまでだ。 おまけに私のことを覚えているはずもないのに、声を掛けられるかもしれないと一瞬期待した自分が恥ずかしい。 「この部屋を1週間お願いします。ここのホテルはシェアオフィスも借りれると聞いたけど、それも予約できますか。」 即答で泊まると答えた目の前の男にびっくりする。 結構な値段がする部屋なのに即答で予約する、この男は何者なのだろうか。 急に昨日の夜、男が泊まるホテルに入った時の光景が想い出される。 かなり広い部屋で普通の部屋ではなく、恐らく今男が予約したモダンルームと同等の良い部屋だった。 おまけにシェアオフィスも借りるということは仕事でこちらに出張に来ている、会社でそれなりの地位の人なんだろう。 今までもこんなビジネスマンを多く見てきているから分かる。 この男もきっとその分類でこの一週間ここに泊まったら、二度とこのホテルに来ないだろう。
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