香りの正体

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仮に来たとしても次の仕事がいつ入るかも分からないから、いつ来るのかも分からない。 おまけに目の前にいる男は、昨日一夜を共にした私に気付いていない。 急に私に気付いて欲しいという気持ちも出てくる。 でもやっぱり気付いて、がっかりされて、あの夜を後悔されたら立ち直れないだろう。 「あの、シェアオフィス借りれますか?」 再度、男が声をかけてきて我に返る。 黙りこくって突っ立っている私を、きっと変なホテルマンだと思われているだろう。 慌ててシェアオフィスの予約状況を確認する。 「シェアオフィスも空いております。モニターの有る部屋ですと、こちらの料金でモニターが無い部屋はこちらの料金となります。ご予約はどのようになさいますか。」 「モニター有りの部屋を今日の15時~18時まで。明日以降も同じ時間で予約をお願いします。」 「畏まりました。宿泊料金とシェアオフィスの料金は前払いになりますがよろしいでしょうか。チェックアウトの際に追加で発生した料金の精算となります。」 「問題ないので、領収書出してもらえますか。」
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