香りの正体

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「承知致しました。お客様が当ホテルをということでありましたら対応させて頂きます。何かありましたら、連絡します。」 「はい、それでは失礼します。」 電話の内容がよく分からないが何かあったのは間違いなさそうだ。 血の気が引いたまま、マネージャーに確認する。 「ちょっと何がいけなかったのかよく分からないですが、重大なミスをしてしまったでしょうか。」 何を言われるかドキドキしながら、マネージャーの言葉を待つ。 「AQUAの社員はずっとプリンスホテルに泊まることで有名なの知らなかったか?」 「知らなかったです。宿泊とったのがまずかったでしょうか。」 「お客様の意向だから、こちらからは拒否できないだろ。相原に問題はないから、そんな血の気の引いた顔にならんでも大丈夫だ。」 「それを聞いて安心しました。」 「今回も1週間の宿泊予約をしていたようなんだが、今朝になって急にキャンセルしたらしい。ホテル側に落ち度は全くないと言って、キャンセル料も払ったみたいなんだ。」 プリンスホテルと聞いてどきっとする。 やはり昨日一夜を共にしたのは、佐原さんで間違いないようだ。
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