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私に声を掛けて来た男性は良い香りを漂わせて私の隣に座る。
男性から漂う香はまるで高級化粧品のような上品な香りだったことを今でも鮮明に覚えている。
「ご注文は。」
男性が私の隣の席に着いたのを見計らってマスターが男性に声を掛ける。
「この女性と同じものを。」
注文を終えた男性をちらっと見るもイケメン過ぎて、直視できない。
目を見て話すなんてまず無理だと思い、残りのワインを一気に飲み干す。
「だいぶ飲んでいるようですが、一気に飲んで大丈夫ですか。」
一気にワインをがぶ飲みする女だと思われたかと思うと急に恥ずかしくなる。
「こちらの女性に炭酸水を。」
男性がマスターに声を掛けている。
「飲み過ぎなようなので、炭酸水でスッキリしてみて下さい。」
酔っ払いの女が一人で飲んでいて、哀れだと思われたかと思うとますます惨めになってくる。
「今日は仕事で疲れていて飲むか迷っていたけど、貴方に会えてバーに入ってきて良かった。」
どんなリップサービスだよと心の中で悪態付く自分にほとほと嫌気がさす。
私が黙っているのもおかまいなしに男性は色々話かけてきた。
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