5668人が本棚に入れています
本棚に追加
/214ページ
今となってはどんな話をしたか全て覚えていないが、いつの間にか私も男性のペースに飲み込まれ色々しゃべっていたような気がする。
唯一覚えているのが男性が温泉マニアだと言っていたことだ。
偶然にも私も無類の温泉好きで休みになると一人でふらっと色々なところに行っていた。
温泉の話題でかなり盛り上がり、将来小さい温泉宿を一緒にやろうと約束したこともうっすら覚えている。
そんな話で終始盛り上がっているうちに男性のお酒もどんどん進み、話が途切れ目が合った瞬間に何かがぷつりと切れた。
男性が妖艶な目をしたかと思うと私の腰に手を回す。
それが合図となったのか、男性の魔法にかかってしまったのか、男性の泊まるホテルの部屋に付いて行っていた。
そこから先は今思い出しても、体の奥が熱くなってくる。
不埒な回想をしている自分にはっとする。
気付いたら勤務先のホテルの従業員入口まで来ていた。
気分を入れ替えるために大きく伸びをする。
「おはよ、若いのに肩こりですか。」
伸びをしていた私の背中を軽く叩きながら、声を掛けてきたのは同僚の西野直樹だ。
「ちょっと、痛い。いきなり叩かないでよ。」
最初のコメントを投稿しよう!