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きっとどこかに落としていて、清掃が終わったら自分の手元に戻って来るだろうと思いながら、予備のバッチを胸に着ける。
バッチをつけながら、昨日出来事は忘れようと心に決める。
甘い夜だったがこれ以上何かが起こる訳でもないので、現実の良い男を見つけよう。
今日こそお客様に声を掛けられて、いい彼氏をゲットするぞ、これも現実的ではないと分かっている。
だけど無理やり昨日のことを忘れるためにも、自分のモチベーションを上げるためにも自分に言い聞かせる。
遅番の人と交代して受付に立つ。
ちょうどチェックアウトのお客様が増えてくる時間なこともあって、あっという間に時間が過ぎていく。
一息つくころにはだいぶ時間が経っていた。
「今日も結構な予約があるな。」
隣で受付をしていた直樹が予約表を見ながら声をかけてくる。
そんなに予約があるのかと直樹が見ていたパソコンを覗き込む。
確かにどの部屋も予約がされており、少し値段が高い、通称VIPルームも結構予約で埋まっている。
「こりゃ、忙しくなる予感だね。」
直樹とパソコンを見ていると、記憶にしまったはずの香りが鼻を擽る。
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