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すると、全ての鏡が何かを映し始めた。しかも、鏡1枚ごとに、映っている世界が違うように感じた。
「ねぇ……ここに映っているのって、私……?」
私は恐る恐る鏡を指でさした。無数の鏡のうち1枚に、私にそっくりな人物が映し出されていたからだ。
「うん。その1枚だけじゃなくて、ここの鏡に映る全て、貴女だよ」
「えっ…………」
言葉に詰まってしまった。全部、私……?
「でも、これとか髪型が違うし……それに何でこんなにたくさん……」
「ああ、ごめんごめん。わからないよね。……ここに映っているのは、貴女が生まれて、そこからあらゆる方向に分岐していった貴女達の姿。この鏡は、生まれてから今日までの、分岐した全ての貴女を再生しているんだ」
少女は落ち着いた声色でそう告げた。この少女は幼いながらに、どこか大人びている。
私はなかなか頭を整理できなかった。何故ここにいるのか、何故こんな空間が存在するのか、少女は何者なのか……。
「驚いたよ。まさか来客……しかも、この鏡に映る本人が来るなんて。ずっと時間の流れもないこんな場所に、ボクはただ1人いるものだから」
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