146人が本棚に入れています
本棚に追加
「お疲れ様です」
ゆっくりとドアを開くと――
(あっ……!!)
嫌な予感は的中。
副部長と目が合ってしまった。
それもそのはず、もう既にオフィスには副部長以外誰もいなかったからだ。
挨拶は返してくれたものの、すぐにパソコンへと目を向けてしまった。
(気まずい、非常に気まずい。はやく部長の席を見つけないと!!)
書類ケースを抱え、きょろきょろと動き回っていると、パソコンに目を向けたままの副部長は「部長の席は隣……」と教えてくれた。
「あ、ありがとうございます」
なぜ部長の席を探しているのがわかったんだろう。
しかし今はそんな事どうだっていい。
早くこの息苦しい部屋を出て行きたい。
部長の席の横にそっと書類ケースを置くと、なるべく足音を立てないようにして、出口へと急ぐその時だった。
「ちょっといい?」
「は、はい!!」
私は勢いよく振り返った。
「仕事手伝ってもらっていい?」
私にはそれが依頼ではなく命令のように感じられ。
いつもの愛想笑いで頷くことしかできなかった。
最初のコメントを投稿しよう!