4.ホットサンドと忘年会

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   私達が座った六人掛けのテーブルは、社内でも気の知れた女の子ばかりでほっとした。  (あた)りを控えめに見渡すも、副部長の姿は見当たらない。  乾杯を終え、きらきらとした前菜を食べ終わった頃だった。  まわりのテーブルが、急に騒がしくなった事に気がついた。   「篠原さーん! こっちでーす!!」  営業部の女の子数人が、椅子から立ち上がり大きく手を振っていた。  (副部長の名前、たしか篠原だったような……?)  答え合わせをするように、ちらりと視線を向けてみると。  そこには、黒いコートを着た副部長がいた。    瞬間、どくんと胸が脈を打つ。  慌てて視線をそらしたはずなのに、いつの間にか視界の端で追っていた。 「篠原さーん、遅いですよー!」 「ごめん! なかなか先方に電話繋がんなくって」    女の子達に(うなが)されるように、私の向かいのテーブルへと座る副部長。  隣に座る可愛い女の子は、ビールを注いであげていた。  さっきまでの高鳴る期待は急に消え失せて。  前に座る戸田さんに隠れるように、身体の向きを変えていた。  私とは対照的な、可愛いくて明るい女の子に笑顔を向ける副部長。  (半年も前に貰ったのど飴なんかで浮かれちゃって……)  きっと、副部長はとっくに忘れているはずなのに。      コース料理もデザートへと差し掛かり、くじ引きのために読み上げる社員番号に一応耳を傾けるも。  結局、私の社員番号は最後まで読み上げられないまま、忘年会はお開きとなりすぐに二次会への招集が始まっていた。  周りにさりげなく挨拶をすると、そっと席を立ち急いで店を出た。
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