1.チャイラテと出会い

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「それ、俺のなんですけど」  私の頭よりずいぶん上の方から声がした。 (えっ!? 私…………?)  まるで冬に逆戻りしたような冷たい声。  それが、自分に向けられたものではない事を願いつつ振り向くと。    スーツを着た若い男性が、蔑んだ目で私を見下ろしていた。 「あっ、えっ……」  すぐに目をそらすも、恐怖のあまり後ずさり。 「いやだから俺が先に並んで、そのチャイラテ注文してたんですけど」 「あっ、すす、すみません」  声を荒げずとも伝わる、軒並みなるぬ威圧感にビクリとして。  なんとかこの場を終わらせようと、必死に頭を下げるだけ。 「いや、もういいんで」  (おび)える私に、ため息混じりの言葉を吐き捨て、行ってしまった。 「す、すみませんでした!!」  さらに深く頭を下げると逃げるようにカフェを出た。  (こ、こ、怖かった…………)   あの害虫を見るような目…………。  確認しなかった私も悪いけど、何もそこまで言わなくたって。  って、わかってますよ……。    (どうせ、私がブスだからですよね!?)    もしも、かわいい女の子が瞳をうるうるーってさせて謝っていたら。   『気にしなくて大丈夫だよ』なーんて笑顔で許してたに違いない。  (はぁ、可愛くなりたい……。結局、見た目が全てじゃん……!)  せっかく気持ちの良い朝だったのに……。  やっぱり私なんかが、カフェになんて来るんじゃなかった。  
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