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「お、お疲れ様です!」
今の私は見るに耐えないブサイクかもしれない。
それでも思い切って笑顔を作ると、明るい声で挨拶をした。
しかし、副部長は再び私と目を合わせる事はなかった。
「お疲れ」
抑揚のない声で、ただ義務のよう言い放つ。
真っ直ぐ見つめるその瞳には感情さえ感じられず、表情はピクリとも変わらなかった。
気がつくと、副部長の足音はもう遠くの方で響いていた。
(な、なんで……)
副部長の冷たい反応に、思った以上のショックを受け呆然としてしまう。
(いや……。これが本当の副部長なんだ。そもそも最初から私のことなんて、良く思っていなかったし…………)
あの日は、ものすごく酔っ払っていたから。
私と話した事さえとっくに忘れてしまってて。
本当は景品だって、他の女の子に渡すつもりだったのかもしれない。
だいたい、かっこいい副部長が、地味な私なんかに優しいって……話ができすぎている。
『いい夢を見せてもらった』
そうやって割り切って考えようとするのに、あの日の優しさを思い出すと胸が苦しくなる。
無意識に飲んだフラペチーノは、今の気分とは裏腹に、爽やかで甘酸っぱいものだった。
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