5.フラペチーノと挨拶

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「お、お疲れ様です!」    今の私は見るに耐えないブサイクかもしれない。  それでも思い切って笑顔を作ると、明るい声で挨拶をした。  しかし、副部長は再び私と目を合わせる事はなかった。 「お疲れ」  抑揚のない声で、ただ義務のよう言い放つ。  真っ直ぐ見つめるその瞳には感情さえ感じられず、表情はピクリとも変わらなかった。    気がつくと、副部長の足音はもう遠くの方で響いていた。    (な、なんで……)  副部長の冷たい反応に、思った以上のショックを受け呆然としてしまう。    (いや……。これが本当の副部長なんだ。そもそも最初から私のことなんて、良く思っていなかったし…………)  あの日は、ものすごく酔っ払っていたから。  私と話した事さえとっくに忘れてしまってて。  本当は景品だって、他の女の子に渡すつもりだったのかもしれない。    だいたい、かっこいい副部長が、地味な私なんかに優しいって……話ができすぎている。    『いい夢を見せてもらった』  そうやって割り切って考えようとするのに、あの日の優しさを思い出すと胸が苦しくなる。  無意識に飲んだフラペチーノは、今の気分とは裏腹に、爽やかで甘酸っぱいものだった。
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