2.机と再会

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2.机と再会

 あの最悪な事件から、はやくも1ヶ月。  ゴールデンウィーク明けの憂鬱な気持ちとは裏腹に。  正午にもなると休憩室の大きな窓から差し込む日差しは、夏の訪れを感じさせる。  チーズパンを食べながら、前に座る二人の話に時折微笑んでいた。 「あ! そういえば、来週って2社合同の親睦会だったよね」  私の正面に座るのは、同期の水川(みずかわ)さん。  手作りの卵焼きを一口で食べると、話を切り出した。  私の会社は、事務関係の外部委託を請け負っていて。  その主なクライアントが、このオフィスビルに入った有名企業(サンテボ)。  名の知れた日用品や化粧品の販売事業を行っている。    そのため、5月に親睦会。  12月には忘年会を合同で開催していた。  斜め前に座る同期の戸田(とだ)さんも、身を乗り出し、口を開く。 「そうそう、出欠確認のメール来てたけどもう強制参加って感じだったよね」 「今回はさ、サンテボの部長と副部長が変わるからなんだって」 「あ! そうだったの?」  二人は1週間後に控えた親睦会の話で盛り上がっているのだが……。  私にとっては、ただただ憂鬱なイベントでしかなくて。 (当日は、空気に徹しよう!)    そう心に決めるのであった。
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