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7.電子タバコと策士 side篠原
充実した休みを過ごしたわけでもないのに、連休明けの朝は憂鬱すぎる。
怠い身体を引きずりながらも、始業の1時間前にはオフィスのドアを開く。
すると今日も北川部長が一番乗りだった。
「おはようございます……って北川、焼けましたねー」
「え? そんなわかる? 実はさ、娘が屋外プール気に入っちゃって。この5日間で3回も連れてってあげたんだよ」
「へぇー、連休中は嘘みたいに天気よかったしね。でもなんか、北川も家じゃ良い父親なんだね……」
綺麗に日焼けした顔を、しみじみと眺める。
北川は、俺と同期であり同い年にも関わらず、結婚して幼稚園に通う娘までもいる。
別に羨ましいってわけじゃないけど、そういう幸せを俺も1度は味わってみたかったなんて、柄にもないことを思ってしまった。
「あ、そうだ。北川がほしいって言ってた、電子タバコ。たまたま店の前通ったら売ってたよ」
俺は北川の机に、小さな紙袋を置いた。
「え、俺に買ってきてくれたのかよ? ありがとー! あ、いくらだった?」
北川がポケットから財布を取り出そうとして、俺はその手を制す。
「別に金はいいよ。安かったし」
「え? どうした篠原、珍しいじゃん!?」
「一言多いんだよいっつも……」
不機嫌そうに笑って見せると、カバンをデスクの横に置いて席に着いた。
すると、にやけた北川がキャスター付きの椅子に座ったまま俺の隣にやってくる。
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