2.机と再会

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   親睦会当日。  オフィスの大会議室を貸し切って用意された、立食形式のパーティー会場。  司会者の男性の「あーあー」というお決まりのマイクテストを皮切りに、親睦会がスタートした。 「では、お時間となりましたので始めさせて頂きます。えー、4月より着任されました北川(きたがわ)営業部長と、篠原(しのはら)営業副部長、よろしくお願い致します」  司会者の紹介で前へ出てきたのは、笑顔が爽やかな男性と――  (え……!? う、うそ……………………)  カフェで(さげす)むように私を見ていた、あの男だった。  「札幌営業所から参りました、篠原 翔太(しのはら しょうた)と申します」    しかし私が知っているあの男とは、程遠いもので。  物腰が柔らかく、優しくも控えめな笑顔。  挨拶の内容も、決して(おご)る事のない気さくなものだった。 (って、もう別人じゃん!!)    人間誰しも裏表があるとは言え、ここまで潔く演じられるとは……。  いや、だからこそ汚い手を使い、大手企業の副部長になれたとしたら納得だ。  私に取った態度との違いを思い出すと、あまりいい気はしないが。  どうせ私は、他社の契約社員なわけだし。  この先、副部長と関わることもないだろう。  しかし、また何か言われても面倒だ。    今日は絶対に顔を見られないようにしようと、心にかたく誓った。    
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