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(え…………? って、別に食べてくださいなんて頼んでないですよ!!)
さっきは少し悲しそうな顔をしていたから、心配していたというのに。
なぜか、悦に入ったこの表情。
気晴らしに、私の反応で遊んでいるとしか思えない。
こういうタチの悪い冗談は、相手にせず冷静に聞き流す事を覚えた私。
「そ、そうなんですねー。あはははー」
適当に受け流し、その場を収めたつもりでいたのだが。
副部長は、私の反応が気に入らなかったらしい。
「『そうなんですねー』ってなんだよ」
「あ、いや……。す、すみません」
「せめてさ『そんなこと言わずに、おひとついかがですか?』ぐらいの、気遣いしてくれてもいいんすよ?」
「え? だって、あの……。今手作り苦手だって仰ったじゃないです……か…………」
副部長の凍てつくような威圧感に、フェードアウトしていく私の声。
恐々と副部長の顔を見上げれば、文句ありげに睨んでくる。
(なんで、こうなるんですか……!?)
仕方なく私は、クッキーの入った袋の口を広げ、副部長へと差し出した。
「あの……よかったらどうぞ?」
「遠慮しとくわ」
なんて言いながらも、袋ごと奪われてしまった。
まったく、副部長のちぐはぐすぎる言葉と行動は、理解の範疇を超えている。
さっきは『手作りが苦手』なんて言っておきながら、豪快に一口で食べようとしてるし……!
「あの! あんまり、美味しくないですよ……」
「食べる前に言うかよ、普通?」
「すいません……」
副部長は、あきれた顔でクッキーを口に放り込むと、サクサクと心地よい音を響かせた。
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