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3.のど飴とサービス残業
あれから3ヶ月が経ち。
夏ももう終わろうとしていた8月の事。
2時間の残業をやっと終え、デスクから立ち上がると。
すかさず声をかけてきたのは、マネージャーの渡辺さん。
「あーちゃん! ちょっと帰るついでに、営業部の部長の席に、これ持ってってくれない? 書類の整理に使いたいらしいのよー」
そう言って、有無を言わさぬ勢いで渡されたのは、プラスチック製の書類ケースだった。
「はい。わかりました」
頼まれると断れない性格の私。
今日は朝から、のどの調子もあまりよくないし……。
こんな日は、早く帰りたかったんだけど。
とは言え、気の弱い私にとっては、
頼み事を断るより、多少無理をしてでも引き受けてしまった方が楽ではあるが……。
(…………でも、あの人がいたらどうしよう)
この前の事もあり、どうしても副部長には会いたくなかった。
『副部長がいませんように』と祈りながら、足取り重く営業部へと向かった。
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