memory 1

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「どうして言うことが聞けないの!!」 バシン、と音が響くと同時に、絃の頬がじんじんと痛みを感じる。  また叩かれたのだ、と理解するのに時間はかからなかった。 「─────っ!」 叩かれたのは、これで何回目だろうか。 絃を叩いた母本人は、満足そうに意地悪い笑みを浮かべている。 周りにいる絃の家族は、まるで絃たちのことが見えていないかのように、見向きもしない。 「あなたが悪いのよ?あなたが私の言うことを聞かないから、こんなことになるの。」 ─────言うことを聞かなかったから。 使用人がいるにも関わらず、使用人以上の雑用を押し付けられ、一日で終わりきらなければ、言うことを聞かなかったことになるのだろうか。 どうして。 そう問いたいのに、問うても無駄だと、どこか諦めている自分がいた。 「ちょっと、聞いてるの?返事くらいしなさいよっ!」 また振り上げられる母の右手。 絃は固く目を瞑った。  
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