memory3

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「どうぞ、つけてみてくださいな。」 そう言われたものの、髪飾りをつけたことがない絃は、付け方がいまいちわからず困惑する。 その様子を見て、弥生がクスッと笑った。 「おつけしましょうか。」 「お、お願いします…。」 絃の髪に飾りをつけながら、弥生はいかにも気になる、といった様子で絃に問い掛けた。 「絃様は、九重様の恋人様であられるのですか?」 「こ、恋っ!?」 思わず前につんのめりそうになった。 『恋人』という言葉すらも言えぬまま、ごほごほとむせる絃を弥生は優しげに見つめる。 「ち、違いますよ!!ありえないです、私がその…恋人だなんて。なろうとも、微塵も思っていませんし。」 首を振る絃。 「あら、そうですか?九重様があんなにも優しいお顔をされるので、わたくしてっきり。」 ──優しい顔。 絃に会ったものが必ずと言っていいほどに言う言葉だ。 そんなにも珍しいことなのだろうか、紫月が笑顔をみせ、優しく微笑むのは。 九重紫月という人は、いったい周りからどのような印象なのだろう。
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