memory3

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*** ──ゆっくりと意識が浮上する。 ぼんやりとした視界の中、都世(とよ)の顔が目に映った。 「ああ、絃様(いとさま)っ。よかった…。」 そう言って安堵を浮かべる都世。 (…私はこんなところで何を?確か、九重さんと都へ出掛けて…。) ──そうだ、母に会ったのだった。それで、無理やり引っ張られて…。 「こ、九重さんはっ!?」 「今はお仕事に出掛けておられます。」 都世が落ち着いた表情で告げる。 「そうですか…。」 正直なところ、絃の記憶は紫月が目の前に現れ、母と口論になったところで途絶えている。 あとからさきのことは、何一つ覚えていないのだ。 どうやってこの屋敷に戻ったのか。母とのことはどうなったのか。 だが、紫月がいなければ訊くことすらできない。 少し肩を落とした絃に、都世がにこやかに笑いかけた。 「佳弥乃さんをお呼びしますね。」 そう言って部屋を出る都世。
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