早く私を捕まえて

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私は走る事が好きじゃない。 だってダルいし面倒だし意味ないし。 なんていうか、実を言うと走り出すと止まらないんだ。 だから走りたくない、が正解かな。 それなのにみんなして私の背中を押すの。 【ほら、早く行けよ】 って。 だからね、仕方なくちょっとだけ移動した。 すると… 「やあ!」 突然声を掛けてきたのは私の隣りにいて、私にそっくりなヤツ。 「な、何?」 返事をするとそいつの後ろから全く同じヤツが出てきた。 「え、まさかの双子?」 私は怖くなった。 急に現れた私に似た双子に驚きを隠せない。 仕方なく私はまた少し移動した。 さっきよりも少し早いスピードで。 すると… 「こんにちは」 声を掛けられて振り向くとさっきのヤツより強そうなヤツがいた。 一体何が起こっている? 一見私にそっくりなのに違うヤツらがあちこちにいる。 そうか、私は走り出した…走り出してしまったんだ。 もう止まらない、止まれない。 走り続けるしかない! さて、私は世界中に駆け出したよ? 誰が私を捕まえる? 誰が私を根絶やしにする? 誰が私に対する抗体を生成する? これだから人間との追いかけっこはやめられない。
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