空へ

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『?!』 急に地面が遠くなった。 誰かに体を捕まれて目が回るくらい急上昇していた。 ちょっと爪が痛い。爪?誰? 「おい、お前」 上から声がする。 「カラスの掟を破るんじゃねえよ、みっともねぇ」 やっと余裕が出来てチラッと横をみた。  あの翼だ。白い羽のあるあの鷹の翼だ。 「なんで?」あ、僕、喰われるのか…  見透かしたように君は言った。 「喰わねえよ。みっともなさ過ぎてイラッとしただけだ」  今度はゆっくり近くの森へ降りていった。 「離すぞ。自分で飛べ」  あわててバタバタして近くの木に止まった  一旦君も枝に止まってから行こうとしていた「じゃあな」 「ありがとう、でも僕カラスなのに」 「言ったろう、みっともねえのは嫌いなんだよ」 「俺らは遠目が利くから余計なもんが目に入るんだよ。お前、もう、俺の後についてこようなんて思うなよ。」 「追いかけてたの、観てたんですか?!」 「うるせえよ」  君は風が収まった頃合いをみてすうっと飛んでいった。  僕のこと気がついてたんだ。  捕まれてたところがズキズキしてたけどぜんぜん気にならなかった。なんだか嬉しかった。
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