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いつだって僕は君を見ていた。
風に乗って高く飛ぶ君に憧れてた。
いつも世話しなくバタバタ翼を動かさないといけない僕らカラスと違って、君はまっすぐ翼を伸ばしたまま悠々と気持ち良さそうに飛ぶんだ。
左右の翼の先っぽに白い羽が幾枚か綺麗にあって太陽の光でキラキラ光るときがあるんだ。僕は見とれてしまう。
ねえ、どうやったらそんなに遠くへ行けるの?風を視れるんだろう。
そんなこと考えてたら、テリトリーの奴らから、いつもぼーっとしてるからほっとけって言われているらしい。
だから上手にご飯にありつける情報なんて、僕には巡ってこない。なんとかひとりで細々と食いつないでいる毎日。
それでも、君を見つけると、なんとか近づきたくてすいすい行ってしまう君の後を追っていくけど、つい、別のグループのテリトリーに入ってしこたま怒られてはすごすご戻る。
もっともっと高く飛べたらなあ。奴らに見つかるなんてこともなく、君が住んでるところに行って色んなことこっそり覗けるのに。
今日も公園の端の木の実をついばんではまた空を見上げる。
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