溺愛師匠

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やっとの事で帰り着き、門を潜ると、シズカのクンクンと鳴く声が聞こえました。 私は縁側の方を覗き込むと背を向けた先生とその背中に鳴くシズカの姿が見えます。 私はその光景に微笑み、玄関を入り、 「ただいま帰りました」 と声を上げました。 直ぐに希世さんが厨から出て来られ、私の持つ風呂敷を持って頂き、 「おかえりなさい」 と言って下さいました。 いつもなら編集者の白井さんが来られている時間なのですが、玄関に靴も見当たらず、私は首を傾げながら先生の下へと帰宅した挨拶をしようと縁側へと参りました。 「おう、要君。お帰りなさい」 先生は背を向けたまま仰いました。 「戻りました。すみません、焼き芋屋が見つからなかったので…」 と言いながら先生の傍に寄ると、なんと先生の膝の上に、小さな女の子がちょこんと座っていました。
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