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新しい夢を
僕はいつも自分の夢に向かって走り出すことが出来なかった。両親の引いたレールの上をひたすら歩いていくだけだった。
だけど大学に入って本格的に始めた長距離陸上競技。しかも箱根駅伝で毎年上位に顔を出す帝国大学の陸上部の厚い選手層の中で、僕はあと少しで箱根駅伝の選手のポジションに手が届く所まで来ていた。自分にそんな能力があるなんて思いもしなかったけど、親に言われたレールの先ではなく、自分で分岐器を変えた未来に夢を描いた瞬間だった。
同じ陸上部の川橋陽毬との恋も順調で、僕は初めて両親の引いたレールの上を歩くことを止め、自分の夢に向かって走り出していた。
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