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「コールは?」  ウォーカーは事務所内を見渡した。 「今、会場の下見に」 「今度のセブンポーカーの大会かね」 「はい」  セブンポーカーで、うん千万稼ぐコールにとって如月探偵事務所は道楽だとステラは思っていた。しかも次の大会は更に桁が違う。 「そうか。君に留守番させるなら、助手と認めても良いもんだがな。まったく」  ウォーカーは苦笑いすると「待たせてもらってもいいか」と言った。 「どうぞ、どうぞ。僕で良かったらお話聞きますよ」  コーヒーを運んできたステラは、ウォーカーの向かい側に座ると身を乗り出した。 「ふむ。しかし未成年の君には、ちとヘビーかもしれん」 「殺人事件ですか! クリスマスイブには18歳ですよ。もう成人1カ月前ですから同じですよ。施設からの引っ越しも始めますし」 「いや事件は起きていないんだよ。まあ、その予告かもってだけなんだが」 「予告状。ですか? なら見るくらい大丈夫ですよ」  見た目よりもしっかりとしたステラの口調に、コールが側に置くくらいだから何かヒントを得られるかもしれないとウォーカーはポケットを探った。 「見て感じた事を教えて欲しい」  取り出されたのは、五芒星が描かれたゴシック調な黒い封筒だった。中には赤い文字が書かれた雪景色のクリスマスカードが入っていた。
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