26人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
クリスマスカード
基利斯督ノ弥撒ニ悪魔ハ笑ウ
街ニ流レル風琴ノ音ガ三太九郎ノ悲鳴ニ変ワリ
街路樹ト並ブ角灯ガ血ニ染マル
維納ノ怪人
「何ですかコレ。暗号文? うーんカタカナだけ読んでも意味はなさそうですね。どこに届いたんですか?」
「サン・スーシ・ウイーンだよ」
「え? 大会の会場じゃないですか!」
サン・スーシ・ウイーンは、ウイーン地方を拠点とした豪華ホテルで、この街でも上位クラスのホテルだ。今回クリスマスに行われるセブンカード・スタッドの大会会場となっていた。
「そう。だから、さすがに断られないだろうと協力を頼みにきた訳だ」
ウォーカーがコーヒーをすすると、ガチャリと扉が開き細長い人影が入ってきた。
「おかえりなさい」
帰ってきたコールはステラの声にも応えず、ウォーカーに目もくれず、フラフラと奥のデスクに向かった。椅子に座るとクルリと後ろを向き、背もたれをステラたちに向けた。背もたれの上から無造作な髪は見えず、腕は肘掛けの外側に垂れていた。完全な脱力モードだ。
「ウォーカー警部補。スコップランドが大会の中止を求めてるとオーナーから聞きましたよ」
「まったく! なんておしゃべりなんだ!」
「でも、その件で来たんですよね」
「んー。まあ……そうだが」
ウォーカーが気まずそうに答えると、ステラはこちらを向きそうもないコールの正面へ回りカードを手渡した。
「原因はこれらしいですよ」
最初のコメントを投稿しよう!