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それに、琉笑夢がおかしいことなどとうの昔から承知の上だが、一番気になっているのは春人が捨てたゴミ等が一体どこに隠されているのかということだ。
日付ごとに整理されてたり、実は部屋のどこかに綺麗に並べられてたりして、いやそれは流石にないよな……まさかな。
「あとさ、今度京子おばさんと親父さんにも挨拶しときたいんだけど」
「俺を幸せにしますって?」
「そーだよっ」
京子というのは琉笑夢の伯母であり、琉笑夢を引き取り育ててくれた人だ。煙草片手に派手な化粧をして、隣の県で『KYO-KO』という名の小さなスナック的な店を開いている。
ちなみに、本人曰く「場末のスナック」らしい。
琉笑夢がこっちに戻ってくる時は基本的に一人だったし、春人が琉笑夢の住んでいた県へと遊びに行ったのも数えるほどしかなかったので、京子と直接顔を合わせることができたのもまだ数回だ。
ただ、琉笑夢が鈴木家に来るたびに高級そうな菓子などを持たせてくれた人だった。
なんでも、昔の京子は都会でも名の知れたキャバ嬢だったらしく、きっぱりと仕事を止めた今でも、当時の客が京子が開いた店へと遊びにくるらしい。
鈴木家に譲渡された高級菓子などは京子が客からもらったもののようだ。
なので、鈴木家はどこにでもある普通の一軒家ながら、不釣り合いなブランド品などがいくつも飾られている奇怪な家になってしまった。
道子はもらうたびに「まあまあ」と頬に手を当てて喜び京子と長電話をしていたものだが、子ども心に「それでいいのか母さん」と思ったこともしばしばあった。
とはいえ、京子は悪い人ではない。
そうでなければ琉笑夢が、「くたばれババア」なんて悪態をつきつつ懐くはずがない。
「ババアは別にいい」
「ダメだろ。大人として、大事な息子さんとお付き合いさせて頂いておりますってことをだな」
「その大人を、どんな手を使ってでもモノにしてこいって尻蹴飛ばされてきたんだよ俺は。だから挨拶とかいんねえ」
……それに、この伯母にしてこの甥ありだと思う。切実に。
「ちなみにババアにもおまえとのこと連絡しておいた、モノにしたって」
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