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「何じゃ、それは?
何が起き上がったというのじゃ?」
武将が問うた。
「謙信公の魂ともいうべきものにございます」
武将の前に座す男は、淡々と答えた。
そのまま、男は話を続けた。
「謙信公、お命をいただきに上がりました」
鬼は、大胆にもそう言ったのでございます。
「わしはまだ死ぬわけにはゆかぬ」
謙信公は答えました。
謙信公の体は横になったままでしたが、その体を抜け出した魂が、そう言ったのでございます。
鬼は、にやと笑いました。
「あなたの寿命は尽きております」
そう言うと鬼は、分厚い帳面を取り出し、謙信に突き出しました。
「それは何の帳面じゃ?」
武将が問うた。
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