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【2】リクト
今日は僕の初めての握手会だ。
ドキドキするな、緊張するな。
むしろ心臓が口から出て来そうだ・・・。
ルックスなんて、全然自信が無い。
でも今日はメイクさんの力を借りて、何とか見られるようにして貰えてるはずだ・・・。
いつもボサボサの髪もカットしたし。
ちゃんと服だってスタイリングしてもらって今時なはずだ。
ほら、鏡を見たら、いつもの自分と違う、アーティスト【リクト】がいる。
世間からは孤高とか言われる。
いや、普通だって。
むしろ、今のこの状況が僕にとって異常なんだ。
でも、僕の沢山のリスナーの皆さんが僕を待っている。
ファンとお呼びするのもおこがましい気がする。
そして、僕が全然売れない時に、動画にアップした曲が好きだと言ってくれた子も、手紙で今日来るって言ってた。
ファンは皆平等だってアーティストさんは言うけれど、やっぱり彼女みたいな子は印象深いんだ、僕だって人間だからね。
彼女に会えたら、何て言おうか?
多分、僕にはありきたりな事しか言えないんだろうな・・・。
『いつも、ありがとう』
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