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【5】アリサ、答える。
私は、パニックから少しだけ冷静になって来て、考えた。
これは、リクトの電話番号だよね・・・!?
皆に渡してる・・・はずなんて無いと思うけど・・・。
普段から、こういう事してるのかな?
なんて、ぐるぐる、ぐるぐる、思考を巡らせてみたけれど、私の経験値と頭では、答えなんて出るはずも無いけど・・・。
どんな理由であっても、万が一何かの間違いであったとしても。
私にはリクトの事を無視するなんて、無視出来るなんて選択肢は無かった。
ドキドキする。
スピーカーから拡散されているように、心臓の音が響いてる気がした。
スマホで番号を打つ手が震えている気がした。
呼び出し音が鳴って、
1コール、2コール、
・・・5コール目で・・・
『もしもし・・・?』
と、リクトの少し高めな甘い声が聞こえて来た。
「あのっ・・・」
上手く、声が出てるといい・・・
「アリサ、です。
・・・リクト?さん、ですか・・・?」
『うん、そうだよ。
掛かって来ると思わなかった。
電話してくれて、ありがとう。
いつも、ありがとう。
少し、話したかったんだ・・・
上手く、話せないかもしれないけどね・・・』
「あのっ・・・
私もですっ・・・」
『あのさ、緊張しないでね・・・
僕は、めちゃくちゃ普通の人だから・・・』
リクトさんが、そう言って照れたように笑った。
それからは、ゆっくりとだけど、なぜか友達のように話せた。
うん、お互いに知らない人じゃ無かったし。
たぶん、
これから、
もっと知って行けるんじゃないかな?って思えた。
受話器のリクトさんの声の向こうから、クリスマスソングが流れて来て、
ふと思った。
そうか・・・
もしかすると、こんな非日常を超えた出会いは、
特別な、
クリスマスプレゼントだったのかもしれない・・・。
なんてね・・・。
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