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それからすぐに祖母は認知症が悪化して施設に入り、私を見ると必ず祖父と同一視した。
けれど私が祖母から送られたネックレスを身に着けていると、私を孫の史郎だと認識することこそできずとも、祖父だと思って振る舞うことは一切なかった。
彼女が九十二歳で亡くなるまで、私は祖母に会いに行く時にはブルーゾイサイトのネックレスを着けていた。
祖母は他人行儀な様子で、いつも褒めてくれた。
「綺麗ですね、よう似合ってはるわ」と。
<おわり>
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