青い自殺

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 私が惚れ惚れと見入っていると、祖母が手に持っていた紫色の巾着を床に置いて言った。 「ええもん見つけたな。タンザナイトっちゅう宝石のネックレスや」  私は両手で箱を掲げ持ったまま、祖母の言葉を聞いていた。宝石というのは、名前すらも美しく、凛と輝くものなのだろうか。  祖母は私に向き直り、正座に座り直した。 「タンザナイトはな、初めはブルーゾイサイトっちゅう名前やったんや。だけど外国の宝石会社のお偉いさんが、ゾイサイトの響きが『スーサイド』に聞こえて縁起悪いわーゆうて、名前を変えはったんが、タンザナイト」 「スーサイドってどういう意味?」 「自殺や」 「自殺ってなに?」  私が聞くと、祖母は目を閉じた。 「自分で、自分を殺すこと」  私はよくわからずに首をかしげた。 「どういうこと?」  祖母は目を開けて、柔らかく唇を閉ざし、数回小さくうなずいてみせた。 「自殺しはった人にしか、わからん」
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