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ブルースーサイド。
青い自殺。
私はネックレスを蛍光灯の光にさらして、移り変わる色を見つめながら言った。
「綺麗。しろも欲しい」
「これはおじいちゃんにもらったもんやから、あかん。第一しろちゃんには要らんやろ」
少し昔の私はその言葉に少し傷つくが、さらに昔の私は単に欲しい物が遠ざけられたことにふくれただけだった。あまりにごねるので、祖母は「貸すだけやで」と私の首にネックレスを着けてくれた。
私は洗面台に走っていって、ネックレスを付けた己の姿を見た。足の裏が冷たかったが、頬は熱かった。タンザナイトは昼になろうとする白い光の中でも、冷静に自分の時間を生きているように、しんとして青かった。
それからタンザナイトに関する話を、私は何度も祖母にねだった。いつか根負けして祖母がネックレスをくれるかもしれないという淡い期待もあったが、それよりも話をするたびに私の胸元で佇むタンザナイトの姿を思い出し、私は恍惚とするのだった。
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