番外編 お悩み相談室

4/4
前へ
/151ページ
次へ
 話を振られたマイトは別の方向に驚いているようだった。 「え~いまだに清い関係だったの? なにしてたのさ、これまで」 「……笛を吹いていました」 「ふ、笛!?」  マイトはふきだしそうになったが、オディーリアの真剣な顔を見て必死にこらえた。 「いや、まぁ……がっかりとかはないよ、きっと。レナート様、そんな嫌な奴じゃないし」 「そんな面白くもなんともない綺麗事で済ませないで、ちゃんとアドバイスしてあげてよね!」 「え~そんな無茶な! いくら僕でも、レナート様の趣味なんて知らないし」 「……そう、ですよね。ごめんなさい、馬鹿なことを聞いて」  しゅんとしてしまったオディーリアがかわいそうになったマイトは、慌ててつけたす。 「あ! ひとつだけあった、全ての男が喜ぶテクニック」 「ど、どんなことですか?」  オディーリアは身を乗り出すほどの勢いで、マイトにつめよる。 「にっこり笑って……」 「笑って?」 「大好きって言うの。語尾にハートマークをつけることが超重要ポイントだよ!」 「わ、わかりました。特訓してみます」  本当は、もっと実践的なアレコレがないこともないのだけれど……具体的なアドバイスなんてしようものなら、レナートが一生口を聞いてくれなくなりそうだ。  そう思って、マイトは口を噤んだのだった。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

988人が本棚に入れています
本棚に追加