26人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
(読み切りSS)サンタクロースはスーパー受け様♡
羽多奈緒 様 デザイン スーパー受け様サンタクロースhttps://fujossy.jp/users/hata_nao
寒い冬の夜。今年もサンタさんは良い子の元へ来てくれるようです。
あなたは知っていますか?
その中に『スーパー受け様サンタクロース』と呼ばれるサンタさんがいることを……。
*********************
ユーザー企画「書庫企画【ルクイユ】」よりクリスマスTwitterイベントのお知らせです。
テーマは「サンタさんへの願い事」
期間:12/22~12/25
イラスト・漫画・小説 表現方法はどれでもOK!
小説140字~・ツイノベOK!
自サイト・長編小説は、掲載先のリンクをタグと一緒に呟いてください。
1人何作品でももちろんOK。
参加方法: 下のハッシュタグをつけツイートするだけ!
#ルクイユのクリスマス
ジャンル不問(BL、GL、HLあり)・全年齢対象のイベントとなります。
BL作品でのご参加の場合は、#創作BL などタグ付けいただくか、大人向けコンテンツは別サイトへのリンク記載に留めていただき、お子様の目に配慮しながら、楽しくクリスマスをお祝いできればと思います!
*********************
『さんたさんへ
ぼくはおとうとがほしいです。でもおかあさんはもうおとうとはつくれないのよ、といっているので、さんたさんがつくってくれませんか。』
(ゴメンね、作ってあげられなくて)
私はつたない日本のヒラガナという文字で書かれた手紙を前に、そっと溜息をついた。
その手紙は何度も開いたり折りたたまれたりしてシワになっている。
何年前に貰った手紙だろうか。私は毎年この手紙を開いては胸を痛めてきた。
世界中から寄せられるクリスマスの願い事の中で、どうしても目を離せなかった一枚だ。
会ったこともない子供の願い事だが、忘れる事の出来ないまま今日まで来た。この子に弟を作ってやりたかった。さぞかし弟を可愛がるいいお兄ちゃんになったことだろう。
なぜ私がこの変わった願い事に心を寄せるか?
それは私が歴代サンタクロースの中でも異名を誇るレアサンタだからだ。人呼んで『スーパー受け様サンタクロース』。
なんと、私のプレゼント袋はとても懐が深いのだ(さすがに子を成した経験はないが)。
時折寄せられる大きなお友達からのエッチな願い事を叶えてあげるのが私の役目だ。クリスマスの時くらい、そんな彼等の願い事を叶えてあげるサンタクロースが居てもいいだろう?
そんな『スーパー受け様サンタクロース』の私が、手紙をくれた彼に何もしてやれなかった事が今でも悔やまれるのだ。
プレゼントを配る準備は整えた。
トナカイ達は数日前から興奮してひっきりなしに夜這いを掛けてくる。この時期になるとどうも性欲が強くなるようだ。仕方がない、トナカイ達のコンディションを整えてやるのもサンタクロースの務めである。
一晩に多い時は三頭の相手をしてやるが、彼等の射精量は半端ないので、私のプレゼント袋もいささか食傷気味だ。
そろそろかわい子ちゃんのお家の煙突にも落っこちてみたい。そんな下心を隠しつつ、ソリに乗って日本までやって来た。日本に来るのは何年ぶりだろう。私達サンタクロースは毎年配達エリアを持ち回りで担当する。
「さて、やっと最後のプレゼントだ」
隙あらば任務をボイコットしようとするトナカイ達の目の前に、私のニンジンをぶら下げながら、日本での配達を終えようとしていた。
日本の冬というのは堪える寒さだ。だがなんだろう、今年はより身体の芯からゾクゾクするような感じがする。
それが運命の再会へのフラグだとは、この時の私は知る由もなかった。
最後のプレゼントは随分と小さい箱に入っていた。真っ白な箱に赤いリボン。何が入っているかは分からない。準備した時にはすでにこの状態だった。そして梱包はかなり厳重。高価なものかもしれない。私は落としたり壊したりしないよう細心の注意を払って、そのプレゼントを懐に入れた。
日本では暖炉のある家は珍しい。サンタクロースマニュアルにある通り、私はとある一軒家の二階のベランダからお邪魔することにした。サンタクロース権限で全世界共通の合い鍵を持っているのは、良い子のみんなには内緒だ。
「メリークリスマス。良い子で寝ているね」
枕元に懐から取り出した白い箱をそっと置いておく。気付かれないよう足音を消して再びベランダへ出ようとしたその時。
「やっと来てくれたんだね、サンタさん」
寝ていたはずの男の子が、ベッドにもたれて頬杖をつきながら私に微笑みかけているではないか!
「お、おや。良い子は寝ているはずじゃなかったかな?」
思わず動揺が声に出てしまう。しまった、これはマニュアル外だ。子供が起きているなど考えもしなかった。
「今までは眠気に勝てなくてさ。でも成長して体力がついたから、今年は起きていられる自信があったんだ。どうしても会いたくて、サンタさんに」
世界中の子供たちが私に会いたいと眠い目を擦っている事は知っている。だが、子供は子供。私が訪れる時間までとうてい起きてはいられない…筈だった。
「昔サンタさんに手紙を書いたのに叶えてくれなかったからさ。なんでだよ、って言いたかったんだ」
まさか彼は。私は常に持ち歩いている件の手紙を胸元から取り出した。かじかむ手で何度も読み返した手紙を開く。
「弟が欲しかったのは、君だったんだね」
彼は嬉しそうに笑い、私の首に飛びついてきた。
「そう!僕だよ。サンタさん覚えていてくれたんだ。その手紙、ずっと持っていてくれたんだね!」
ずっとパジャマ姿で私が来るのを待っていたのであろう。彼の身体は随分と冷え切っていた。私はどの子にも分け隔てなく、というマニュアルを忘れ、思わず彼を抱きしめた。
「忘れる訳がないとも。私はずっと心を痛めていたんだ。君の願いを叶えてやりたかった、だが」
「分かってる。お父さんとお母さん離婚しちゃったから、弟なんて無理だ、ってこと」
「そうか。分かっていたのか」
「僕もその手紙を書いた頃よりだいぶ成長したからね」
愛おしそうに私の白い髭を撫でながら、彼は言った。
「でももういいんだ。サンタさんは僕の願い事を忘れていなかったし、僕はサンタさんにこうして会えたんだから」
「私も会えて嬉しいよ」
私たちはもう一度強く抱擁を繰り返した。
彼が私に会えるのはきっとこれで最後だろう。ある年齢に達すると、私達は彼等の目には見えなくなる。いつまでも傍にいると伝えても、目に見えないものはだんだんと忘れ去られてしまうものだ、いや、それでいい。それが私達サンタクロースの宿命だ。
だが長年温めてきたこの再会が最初で最後などとは、やはり切ないものだ。
「サンタさん、来てくれてありがとう」
彼の抱擁は心なしか熱を帯びてきた。回した腕に力がこもる。
おや?私のベルトがなくなっている。ベルトはどこにいったのだろう。そちらに気を取られている隙に、赤いコスチュームのボタンがひとつふたつと外されていた。
「だ、だめだ。隣の部屋ではお母さんが寝ているんだろう?」
「大丈夫、サンタさんが声を出さなきゃ問題ないよ」
はだけた私の胸元に顔を埋めていた彼は、顔を上げるとこう言った。
「僕の今の願い事、聞いてくれる?」
枕元に置いた白いプレゼント箱のリボンがシュルルル、と解かれた。
彼が箱の中から取り出したのは、ピンク色の小さく丸い物体。コードが伸びていてその先にスイッチが付いている。
「サンタさんはスーパー受け様だって聞いたよ。これくらい、余裕だよね?」
ウィィィン、と震え出したピンク色の物体を手に、彼は満面の笑顔を浮かべた。
────────────────────────
「あッ…ね、声が、出ちゃう…、ベルトを、外してくれないか」
私は自分のベルトで両手を拘束され、ベッドフレームに括りつけられている。大きく脚を広げられ、先ほどのピンク色の物体を私のプレゼント袋の入口に押し当てられていた。
私は泣く子も黙る『スーパー受け様サンタクロース』だ。性的な部分にブルブルと振動を与えるその物体を、難なく受け入れてしまう。
「うわ、サンタさんのココ、すごいエッチだね!」
彼は嬉しそうに、ピンク色の物体を入れたり出したりしている。ああ、お願いだからパワー出力を上げないでくれ。
「んんん、ッ…、は、ぁぁッ…」
快感の波が何度も押し寄せ、私は思わず腰をくねらせる。
いけない。隣には彼のお母さんが寝ているというのに。必死に声を押し殺すが、両手が使えない今、快感を逃すすべが見つからない。
それにしても、彼はどうして私が『スーパー受け様サンタクロース』だと知っていたのだろうか。彼からの手紙を後生大事に持っていた事は認めるが、私の想いなど届くはずもないのに。
「あ、ッ、君は、どうしてッ、ああん、私を…ふうッ…このように、んんんッ…あんッ」
「どうしてエッチなサンタさんの事を知ったかって?ふふ、それはね」
なんと、去年日本担当だった別のサンタクロースが、彼の部屋に担当表を落として行ってしまったらしい。それを拾った彼は、昔送った手紙が私の元にあること、そして私の異名を知ったというのだ。
「サンタさんがスーパー受け様なら、弟も作れるんじゃないかと思って」
「すまない。確かに私は『スーパー受け様サンタクロース』だが、流石にそこまでは」
「でも、サンタさんのココ、ほら、奥まで飲み込んじゃってスゴイ!これなら僕のもいけそうだね!」
「え、あ、ダメダメ待って、それを抜いてからにして…くれッ…!」
「大丈夫大丈夫、ゆっくりいくから」
すくすくと育った彼の煙突が、私のプレゼント袋の入り口をノックする。
「コンコン。サンタさん、入ってもいいですかぁ?」
私の返事を待たずに、ずぷぅぅぅっと育ち盛りの来客が入ってきた。
「ああッ、奥まで一気に!!お兄ちゃんの煙突!!おっきい♡」
「サンタさん、さあ僕の弟を作っておくれ」
「アッ、アッ、作る、作るよおッ♡ お兄ちゃんの願い事、今まで叶えてあげられなくてゴメンねぇッ!」
「いいんだよ、こうやってサンタさんが僕のところへ来てくれたこと自体がクリスマスの奇跡なんだから」
私のプレゼント袋の奥では、ジングルベルが最大出力で鳴っている。
外は身体の芯からゾクゾクする寒さだが、私と彼のクリスマスパーティーはずっぽりと暖かく過ぎてゆくのであった。
Merry Xmas!!
最初のコメントを投稿しよう!