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プロローグ
何もない空間を流されていく。それは時間間隔がなく、ここに入って何時間たったかもわからない状態が無限とも刹那とも感じる時間がただ流れるだけだった。
ここに一人で流されていたら気が狂っていたと思う。
時間の感覚が酷くあいまいで、リーリウムとの融合の副作用も出ては収まってを繰り返す。
途中いくつかの泡が真横を過ぎていくが、どれも触れようとすると磁石のように遠ざかっていく。
しだいに、それも気にしないくなった。
今が寝ているのか、起きているのかも曖昧で、揺蕩う。
トモマサやアユ、他のみんなには悪いことしたな。もっと家族の時間を作ってあげればよかったのに。ダメだな。ボク……。仕事仕事って。
こんな事態にならないと、してきたことを振り返れないでばかりいる自分に少し苛立ちを覚えてしまう。
「早く帰りたい……」
[善処しましょう。早くみんなの許に帰れるように共に]
「うん」
ふと、意識がハッキリとしだす。まるで洗面台に流れた水のような、滝に向かう川のような、そんな風に意識も体も一つの泡に吸い込まれていった。
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