図書館にて

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家に帰って早速、本を開く。 思っていたよりも内容は深く、大学教授が勧めるだけのことはあると思う。 (やっぱり奈緒子と同じくらいの歳だろうな) (あの図書館に来るってことは、近所なんだろうな) などと、読みながら余計なことを考えてしまう。 背も高いし、割とイケメンだったな…と最終的には本に集中出来なくなって、パタンと閉じてしまった。 「なんで、こんなに思い出すんだよ。あんな人のこと」 声に出して言ってみる。 あまりに男ひでりのせいだろうか。 確かにこのところ二次元にも推しがいないし、少し飢えているのかもしれない。 「もう五時か…」 諦めて立ち上がり、洗濯物を取り込む為にベランダに出た。 「さむ…」 11月になり、夕方になると随分冷えるようになった。 自分の分だけの洗濯物なので、大した数では無いけれど、土日にはバスタオルやシーツなども洗うので、いつもよりは多い。 不意に夕焼けが綺麗なことに気がついた。 遠くの空を染めるオレンジ色の光。 一人暮らしを初めて何年になるだろう。 このままずっと独りで生きていくのかなあと、少しだけセンチになった。
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