40人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
家に帰って早速、本を開く。
思っていたよりも内容は深く、大学教授が勧めるだけのことはあると思う。
(やっぱり奈緒子と同じくらいの歳だろうな)
(あの図書館に来るってことは、近所なんだろうな)
などと、読みながら余計なことを考えてしまう。
背も高いし、割とイケメンだったな…と最終的には本に集中出来なくなって、パタンと閉じてしまった。
「なんで、こんなに思い出すんだよ。あんな人のこと」
声に出して言ってみる。
あまりに男ひでりのせいだろうか。
確かにこのところ二次元にも推しがいないし、少し飢えているのかもしれない。
「もう五時か…」
諦めて立ち上がり、洗濯物を取り込む為にベランダに出た。
「さむ…」
11月になり、夕方になると随分冷えるようになった。
自分の分だけの洗濯物なので、大した数では無いけれど、土日にはバスタオルやシーツなども洗うので、いつもよりは多い。
不意に夕焼けが綺麗なことに気がついた。
遠くの空を染めるオレンジ色の光。
一人暮らしを初めて何年になるだろう。
このままずっと独りで生きていくのかなあと、少しだけセンチになった。
最初のコメントを投稿しよう!