11人が本棚に入れています
本棚に追加
1
ぬれてすずしくはだしであるく。
その言の葉を、僕は今日も体現する。
季節は冬、素肌の部分が凍てつく風に刺されて痛いくらいの気温。それでも僕は、波が割れて痛いと叫ぶ波打ち際で、そっとコンバースのスニーカーを脱いだ。
靴下で砂浜に降り立つ。靴下に護られているというのに、瞬間、じわ、と冷たさが土踏まずの辺りから身体中を駆け巡る。
すずしいなんてもんじゃない。痛いほどの感覚に思わず肺から空気が零れ落ちる。僕の感情は夜の暗闇に白く凍って天に昇っていく。
これが狼煙のようになって、空高くにいるだろう君からも見えていればよい。
ほら、今から、歩くよ。
君の代わりに、歩くよ。
最初のコメントを投稿しよう!