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 そうして迎えた5月、子どもの日。  漸く壊れたロボットから脆い人間くらいにまで復活していた僕は、病院の食堂で君と出逢った。  その日、僕は初めて食堂へ行ってみた。きょろきょろと初心者丸出しであたりを窺っていたら、「初めてですか?」と後ろから声をかけられた。 「え?」  驚いて振り向けば、そこには君が笑っていた。ごろごろと小さな機械をつけたまま歩く僕と違って、君は何の管もつけていなかった。それだけで自由に見えた。 「ここで食べたいものを言えば作ってくれるよ。メニューはこれ」  君は僕のいでたちで同い年くらいだと判断したのか、さっそくため口になった。  僕は臆病だからすぐにため口になることなんてできなくて、ぼそっと「ありがとうございます」とお礼を言った。思ったよりもぶっきらぼうになってしまって内心慌てていれば、突然君はくすっと笑った。 「一緒に、ご飯食べよう」 「えっ、」
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