212話 よくある 閑話? 悩める戦姫

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 でも、メイスター王子との検証方法は、ギルが魔術を使っているかもしれないので、五回の連撃を躱さないといけないのだ。さすがに魔力が優れているギルでも連続で五回も魔術は出せないだろうということで。  鈍らな男子騎士組の剣術だったら五回の連撃ぐらい、ギルなら容易く躱せるはずだ。しかし、相手がお父様より強いかもしれないアルギニオが相手だ。しかも、その相手を見ずに攻撃を躱さなければならないのだ。目の前の攻撃と違って多少の誤差が生じる。それが五回もとなると――やはり心配だ。  なんせ、わたしのときとは違い、剣を弾くことは出来ないのだから。  アルギニオと同領地のユーディー様は、このことがわかっていたからギルを必死に説得していたのに――あの脳筋バカのギルは、アルギニオの申し出を受けたのだ。  そう。寮監は講師ではないので、生徒と寮のこと以外で交じり合うことは、基本規則で禁止されているのだ。そう、基本は、だ。だから王宮からの許可を取らなければならない。その前にアルギニオはギルの意思を尊重してくれたのにも拘らず、申し出を受けてしまったのだ。  今回は学生同士の揉め事だと言えば、いくらなんでも大人であるアルギニオが出てくることは防げるかもしれない。  朝一番、エルゼに頼もう。そうむしゃくしゃとしながら風呂場へ向かったのだった。
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