189話 よくある 閑話? 閉じこもり姫の苦悩

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189話 よくある 閑話? 閉じこもり姫の苦悩

「グローリ妃様!」  お茶室にいたわたしたちは驚き、急いで席を立ち、第一夫人様に腰を折って挨拶をする。と、隣にいたユーディー姫様とウィゼールのお二人はすぐさま跪いた。そのようなわたしたちの前に立ちはだかるグローリ妃様が、グレーの瞳を細めて険しい表情で怒鳴るような声を上げられた。 「オルテナ。本日ここでお茶会が開かれると聞いたのですが、これはどういうことですか?」 「どうと申されますと?」 「人と会うことを拒んでいるペネシアがお茶会を開催し、屋敷に人を招くなんて。しかも相手は妾の娘だなんて。なにを考えているのですか?」  めかけ?   困惑しつつ謝罪を述べるお母様の隣で、わたしはそう首を捻った。 「そもそもペネシアにとって初めてのお茶会ではないですか? ワタシたちの娘を差し置いて妾の娘などと」 「ですが、今のペネシアにとってユーディーは気兼ねなく話せる相手でございますので。母親としては、初めてのお茶会は成功させてあげたいと」 「ワタシの娘たちでは成功しないと? そういうことですか?」 「いえ。そういうことでは決して……」 「そもそも、妾の『五女』の娘には近づかないように言っておいたはずです。汚らわしい。ペネシアのせっかくの美貌が穢れてしまいます」  五女? わたし? 跪いているユーディー姫様とお母様を見比べるように垣間見る。 「あのう。五女のわたしがなにか? どういうことなのでしょかお母様」  そう問いかけるとお母様は口をキュッと引き締め、口を閉ざしてしまわれた。代わりに憤怒しているグローリ妃様が話を紡いでくれる。 「なにを言っているのですかペネシア。婦人会によって、あなたは第一婦人継承第四位となり、四女と名乗るように決まったのですよ」
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