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もちろんユーディーから離れる気はなかったので断るつもりだった。
「ヴァーリアル領の大聖堂までなのですが、お願いできませんか?」
「大聖堂って、聖女様がいるところの?」
頷く使い。ふと聖女様の存在が気になった。一目会ってみたいかも。そう心が揺らいでいると、一緒にいたユーディーが興味津々という表情で話に割り込んできた。
「今確かギル様がいらっしゃるのですよね」
「はい。大聖堂に滞在中だとお聞きしています」
そのやり取りにふと閃いた。人前に姿を現さない聖女様でも、ギルに頼めば会えるのでは? これはチャンスかもしれない。うまくいけば聖女様と仲良くなれる。あわよくば、聖女様と親密になれるかもしれない。なんといっても、お互い神様の関係者なのだから。同じ白魔術が使える俺の方がギルより話が合うかもしれない。
イベントが発生しそうにないユーディーと期待が持てる聖女様を天秤にかけ、護衛の任を承諾した。
すると、夏のイベントに興味を持っていなかったユーディーが声をかけてきた。
「ユウキ様。もしよろしければ、わたくしもお供したいのですが」
と。
それは願ってもいない申し出だ。聖女様と会えなかった時、ユーディーと祭りを回れるし、女子と二人きりのちょっとした旅行気分も味わえる。なんだか楽しい夏休みになってきた。
「もちろん一緒に行こう。ユーディーも聖女様に興味があるんだね」
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