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184話 よくある 閑話? 神様に認められた勇者
薄暗い廊下は釣るしカンテラがあり、火が灯せるようになっているようだ。ということは普段も使われているのだろう。
しばらく進むとT字に差しかかった。左右どちらに向かうのが正解なのだろう。などと考えてもわからないので、勇者の勘に任せて右に進む。すると、たどり着いた先は行き止まりになっていて扉がある。今度はちゃんとノブもついている。
迷うことなくドアノブを押して開けてみた。そして、ゾッとした。そこにはなにもなかったのだ。先に進む廊下も部屋すらも。見えるのは青い空のみ。警戒もせず勢いよく開けていれば、地面へまっ逆さまに落ちていた。
下を覗き込み、緑の地肌を眺めて冷や汗が出る。もし後ろから背中を押されていれば、間違いなく転落していただろう。勇者の勘もたまには外れるらしい。そう嘆息をつき、来た廊下を戻り、反対に廊下を進んでみたけれど、結果は同じように扉があるだけだった。
どういうことだ。もしかすると、下る階段が設置されないと降りられないのだろうか? と前の世界での飛行場を思い出し、口の端がニヤリとなった。
なんてったって俺は神様に選ばれし勇者なのだ。階段がなければ作ればいい。
土の魔術でそれを作製し、地へ降り立った。
広いその場所の先には建物が二つ向かい合っていた。しかも見上げてみるとT字だと思っていた場所は十字路になっていたのだ。
もしかすると突き当りの部分にも隠し扉があったのかもしれない。してやられた、と舌打ちをする。
しかし、そこまで手の込んだ場所ということは、ここにはなにかあるんだとわかる。
周りを警戒しつつ、建物に近づいていく。すると、建物から人らしき者が出てきた。
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