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ブースト――物理攻撃に切り替え、彼女たちに殴りかかる。あっという間に方がつき頭に被っているものを剥がそうとした。すると再び声がした。
「下がってください。侵入者です」
そう耳にすると同時にブーストと唱える。が、現れた二人組を見て足を止めた。
「あれ? ギルがどうしてここに」
と。
ギルに言われて司教様の部屋に戻ると、こっぴどく説教されてしまった。
隣でユーディーも謝ってくれた。
大聖堂を出るとまだ明るかったけれど、夕方に差しかかっており、ユーディーの側仕えの計らいでナンデイーブ領の別宅で宿泊することになったのだった。
一つ屋根の下で女子とお泊りイベント発生。なのに、なにかが起こりそうな予感がしない。昼過ぎの俺の失態により夕食は静かだったのだ。
夜は宛がわれた部屋で一人、なにもすることがなくてヒマを弄んでいた。
とにかくもう一度ユーディーに謝ろう。このままでは、せっかくの夏休みが台無しに終わってしまう。せっかく二人で寮を出られたのだから、せめて彼女との距離をもう少し縮めたい。二人きりで祭りも回りたい。なんせこの世界では、今回が最終学歴となり、もう学園生活というものはないのだから。なんとしてもいい思い出作りを!
そう意気込み、ユーディーの部屋を探すことにした。
さすが領主が持つ屋敷だ。広い。どこに彼女がいるのかわからず、一つずつノックして歩く。と、聞き覚えのある声が聞こえた。
「なんですか、この寝間着は」
「領主様から、この出先でユウキ様と親密な関係にと今朝方、封書と共に届きました」
「お父様から。大聖堂行きは昨日決まったことですよ。まさか報告したのですか?」
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